研究課題
基盤研究(C)
ペプチドの合成法には液相法と固相法があり、現在では固相法がその主流となっている。固相法は簡便で合成時間も短く自動化しやすいなどの利点があるが、有機溶媒の使用量が多く、使用後の溶媒は最終的には燃焼処理されている。地球温暖化、ダイオキシン等の有害物質の発生など環境保全という面から有機溶媒の使用は少ない事が望ましい。将来的には毒性の少ない試薬を用い、水中での合成反応が望まれる。この環境保全面を考えた化学合成(Green Chemistryを指向した化学合成)を検討するため、まず水を溶媒とする固相ペプチド合成法を検討し、水系での固相化学合成法を開拓した。まず戦略として水中で反応するために水溶性のアミノ保護基を開発した。まずアミノ保護基として2-[phenyl(methyl)sulfonio]ethoxycarbonyl基を開発し、この保護基をつけたアミノ酸が水溶性であること、緩和な塩基で除去可能な事、簡単なペプチドであれが水溶液中で固相合成可能であることをロイシンエンケファリンを合成して証明した。また同じくアミノ保護基としてethanesulfonylethoxycarbonyl(Esc)基を開発し、この基が付いたアミノ酸を用いて、水溶液中と有機溶媒中でロイシンエンケファリンを合成し、水中でも有機溶媒中でも使える保護基であることを報告した。Pms基はやや不安定、Esc基は水溶性がやや低いこともあり、更に安定で、且つ水溶性の高いアミノ保護基として2-(4-sulfophenylsulfonyl)ethoxycarbony(Sps)基を開発した。Sps-アミノ酸は安定で、且つ高い水溶性を示し、水溶液中でのロイシンエンケファリンの固相法合成を行い、その有用性を証明した。Sps基は水溶性で且つ緩和な塩基条件で除去できる有望な保護基で、ペプチド合成以外にも種々の応用が考えられる。
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