研究課題/領域番号 |
14572028
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
阿部 フミ子 福岡大学, 薬学部, 助教授 (10090747)
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研究分担者 |
大川 雅史 福岡大学, 薬学部, 助手 (70332872)
赤羽 啓栄 福岡大学, 医学部, 助教授 (30020754)
肥後 廣夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80117225)
牧 純 北里大学, 医学部, 講師 (60050697)
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キーワード | シャーガス病 / クルーズトリパノソーマ / 抗トリパノソーマ活性 / 天然物化学 / 国際研究者交流 / メキシコ |
研究概要 |
シャーガス病は原虫Trypanosoma cruziに感染することにより発症する、中南米に広く分布する風土病である。シャーガス病治療薬のリード化合物となりうる植物成分を探索する目的で、昨年度は主にナス科植物センナリホオズキ中の抗トリパノソーマ活性物質、ウィタノライド類について検討した。これまでの主にメキシコ産の植物研究から、今年度はさらに生薬の中から粉防已、蛇床子、厚朴を選び活性を指標に成分検索を行った。その結果、粉防已(ツヅラフジ科シマハスノハカズラ、根)からはビスベンジルイソキノリンアルカロイド(Head to head型)であるtetrandrine、fangchinolineを単離した。同属植物より単離されているcepharanthineにも活性が認められたが、イソキノリンunitの結合様式が異なるtubocurarine, bebeerines (Head to tail型)では、活性が減少した。蛇床子(セリ科Cnidium monnieri、種子)からは主成分ostholとともにフラノクマリン類4種が得られた。これらのクマリン類はepimastigotesに対してはほとんど活性を示さないが、メトキシ基、あるいはイソプレニル基などの嵩高い基が置換するとtrypomastigotesに対して活性を示し、クマリン類の活性発現メカニズムに興味が持たれる。厚朴(モクレン科ホオノキ、樹皮)から得られたネオリグナン類magnolol, honokiolは同程度の活性を示し、水酸基の位置異性による違いは認められなかった。また、magnololのアリル基が水酸基に置換されたrandaiolはtrypomastigotesに対し、約8倍活性が強くなった。 これら、抗トリパノソーマ活性を示す化合物は様々な基本骨格を有しており、今後は活性発現のメカニズムが、基本骨格によりどのように異なるのかの解明が必要となる。現在、in vivoでの活性を調べるため、マウスを用いた活性検定法を検討中である。
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