研究概要 |
水性二相溶媒を用いたタンパク質分離により最適な分離条件を得るための検討及び本装置の特徴である自転と公転の速度と方向を互いに独立して変化させ、これらが分離に及ぼす影響についての検討を行った。カラムは容量の異なる3種類の多層コイル(11,24,39mL)、水性相溶媒は12.5%(w/w)ポリエチレングリコール(PEG)1000/12.5%(w/w)リン酸二カリウム水溶液、試料はCytochrome C, Myoglobin, Lysozymeを用いた。その結果、容量39mLのカラムで下層を移動相とし、公転800rpm、自転10rpmでhead to tail elution modeで行うと良好な分離が得られた。このときのCytochrome CとMyoglobin、MyoglobinとLysozymeの分離度はそれぞれ1.6、1.9であり、固定相保持率は35.0%であった。また、上層を移動相とした場合でも、同様に39mL容量のカラムで公転800rpm、自転10rpmでhead to tail elution modeでLysozymeとMyoglobinの分離度が1.5であり、固定相保持率は33.3%であった。いずれの場合でもtail to head elution modeでは固定相はほとんど保持されず、head to tail elution modeが分離に必須な条件であることが明らかとなった。更に、4.4%(w/w)PEG8000/7.0%(w/w)デキストランT500 in 5mMリン酸カリウム塩緩衝液(pH7.0)+2M塩化ナトリウムでは、上層を移動相とした場合にLysozymeとMyoglobinが分離度1.5で分離したが、固定相保持率は19.7%と低下した。また、4.0%(w/w)PEG8000/5.0%(w/w)デキストランT500 in 5mMリン酸カリウム塩緩衝液(pH7.0)+3M塩化ナトリウムでは、固定相はほとんど保持されなかった。偏心コイル(eccenthric coil)でも検討したが、多層コイルの場合と同様に分離にはhead to tail elution modeが必要であることがわかった。 以上の結果から、Nonsynchronous CPCがタンパク質の分離に有用であることが証明されたが、現在、更に自転速度を大きくした場合での分離効率への影響などについてより詳細に検討中である。
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