(1)水性二相溶媒を用いたタンパク質分離におけるカラムの自転および公転の分離効率に及ぼす影響:非同期型コイル・プラネット遠心機(Nonsynchronous Coil Planet Centrifuge (CPC))におけるカラムの自転と公転が分離効率に及ぼす影響を水性二相溶媒によるタンパク質分離により検討した。その結果、公転800rpm、移動相流速0.2mL/minで上層及び下層いずれを移動相としても自転10-60rpmでhead to tail elution modeにより固定相が保持したが、下層を移動相として自転と公転を同じ方向で行うと、上層を移動相とした場合とは異なり、自転速度を上げると固定相保持率が減少した。この結果から、カラムの公転と自転の方向及び速度が固定相保持率と分離に影響を及ぼすことがわかった。 (2)ヒツジ及びヒト血液細胞成分の分離:ヒツジ血液を用いて公転800rpm、自転l0rpmによりカラムの回転方向を検討した結果・タンパク質分離において下層を移動相とした場合と同様に公転と自転を異なる方向で行うことにより、血液細胞成分を良好に分離できる可能性が示唆された。そこで、公転800-1000rpm、自転0-10rpmでの分離を検討した結果、公転800rpmにより自転0rpmで赤血球以外の血液成分が、自転10rpmで赤血球が溶出して互いに完全に分離した。また、ヒト血液を用いた場合では、公転700rpmにより白転0rpmで赤血球以外の血液成分が、自転10rpmで赤血球が互いに分離して溶出した。以上のことから、本装置が比重差による細胞分離に有効であることがわかった。 (3)肥満細胞分離のための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるヒスタミン定量法の検討:ラット腹腔から分離した肥満細胞をcompound48/80で脱顆粒させ、遊離したヒスタミンをHPLCで分析する方法を検討した。o-フタルアルデヒドとN-アセチルシステインを溶離液中に溶解させ、ヒスタミンとオンカラムで誘導体化して蛍光検出する方法が有効であることを確認した。現在、Nonsynchronous CPCによる肥満細胞の分離法を検討中である。
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