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2003 年度 実績報告書

癌細胞悪性化の分子機構の解析-ヒト新規遺伝子産物の癌細胞悪性化における機能解析-

研究課題

研究課題/領域番号 14572046
研究機関北海道大学

研究代表者

安住 薫  北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90221720)

キーワード乳癌細胞株 / 癌悪性化 / CD9 / proHB-EGF / EGFR / ラットオリゴDNAチップ / DNAマイクロアレイ
研究概要

1)乳癌細胞株におけるCD9蛋白質の発現量の解析
ラット乳癌細胞株ER-1(低転移性)とERpP(高転移性)では、ERpPにおいてCD9の遺伝子発現が顕著に亢進していることを見いだした。ヒト乳癌細胞株においても、悪性度の高い細胞株でCD9の遺伝子発現が強く亢進していた。そこで、ER-1とERpPにおけるCD9の蛋白質の発現量を、抗CD9抗体を用いたフローサイトメトリー解析により調べた。その結果、ER-1ではCD9蛋白質はほとんど発現しておらず、一方、ERpPではCD9蛋白質が強く発現していた。CD9は4回膜貫通型の接着分子様蛋白質で、固形癌においてはCD9蛋白質の発現量と癌悪性度の負の相関性を示す報告が多く、我々の調べた乳癌細胞株の場合とは反対である。最近、CD9はproHB-EGFと複合体を形成し、EGFRを介して細胞増殖に抑制的なシグナルを伝達するという報告がなされた。それらの遺伝子発現をRT-PCR法で調べたところ、ERpPではER-1に比べてproHB-EGFの発現は亢進していたが、EGFRの発現が顕著に減少していた。すなわち、ERpPではCD9とproHB-EGFの遺伝子発現が亢進しているが、逆にEGFRが消失したために細胞増殖に抑制的なシグナルの伝達がなされない、という可能性が考えられる。
2)大規模ラットオリゴDNAチップを用いた網羅的な遺伝子発現の探索
ERpPにおける悪性形質獲得の分子機構の全体像を把握する目的で、2万種類のラット遺伝子由来オリゴDNAが搭載されたDNAチップを用いて、ERpPで発現が変動している遺伝子の網羅的な探索を行った。その結果、ERpPで発現が大きく変動している遺伝子が約600個検出され、その内3分の1は機能未知遺伝子であった。この事実は、癌細胞の悪性形質の獲得には、我々がまだ知らない多くの遺伝子(蛋白質)の重要な関与がありえることを意味している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kaoru Azumi 他: "A cDNA microarray technique applied for analysis of global gene expression profiles in tributyltin-exposed ascidian"Marine Environmental Research. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] Kaoru Azumi 他: "Genomic analysis of immunity in a urochordate and the emergence of the vertebrate immune system : Waiting for Godot"Immunogenetics. 55. 570-581 (2003)

  • [文献書誌] Kaoru Azumi 他: "Construction of a cDNA microarray derived from the ascidian Ciona a intestinalis"Zoological Science. 20. 1223-1229 (2003)

  • [文献書誌] Kazuhito Shida 他: "Hemocytes of Ciona intestinalis express multiple genes involved in innate immune host defense"Biochemical and biophysical research communications. 302. 207-218 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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