研究概要 |
レプチンは、最近免疫機能への関与が注目されている。一方、末梢のレプチンが脳免疫機能に及ぼす影響については不明な点が多い。またレプチンの脳内標的部位は主として視床下部であると考えられているが、視床下部以外の脳内作用部位とその機能については不明な点が多く、他の神経核レベルでの検討はほとんど見られない。本研究において得られた知見を以下に示す。 1)末梢投与レプチンが脳内IL-1β、IL-1raを産生すること。この作用は、肥満に関連する受容体として知られていたOb-Rb受容体は介さずに,ショートアイソフォーム受容体を介するであろうことが明かになった。 2)レプチンのOb-Rb受容体を介する脳内STAT3の活性化部位として,これまで視床下部が知られていた。今回末梢投与レプチンにより、STAT3のリン酸化が視床下部のみならず脳幹部において活性化したこと。SOCS3発現が視床下部のみならず脳幹部において増加したこと。さらにSTAT3リン酸化抗体を用いた免疫組織化学的成績より、新たに脳幹部の孤束核、迷走神経背側核、外側結合腕傍核、中心灰白質が新たな作用部位として存在することが明かになった。 3)デキサメサゾンは末梢投与レプチンによる脳内IL-1β誘導、レプチンによるグリア細胞におけるIL-1β誘導を抑制したが、一方レプチンによるSTAT3のリン酸化は抑制しなかった。したがって、グルココルチコイドはレプチンによる脳内IL-1β誘導に対し負に制御していることが明かになった。
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