研究課題/領域番号 |
14572050
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桝渕 泰宏 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (10209455)
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研究分担者 |
伊藤 晃成 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (30323405)
堀江 利治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90120154)
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キーワード | 薬剤性肝障害 / サイトカイン / TNF-α / インターロイキン-10 / アセトアミノフェン / ジクロフェナック / インドメタシン / シトクロムP450 |
研究概要 |
本研究では薬剤性肝障害の特異体質性を説明しうる毒性発現因子あるいは抑制因子を明らかにすることを目的として、サイトカインの役割について検討した。本年度は代表的な肝障害原因薬物であるアセトアミノフェンと、我々がこれまでin vitroで肝細胞障害性のメカニズムを検討してきた非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を用いた。肝障害を惹起する投与量のアセトアミノフェンをマウスに投与すると経時的な血清中サイトカイン濃度ならびに肝mRNA発現量の増加が認められた。しかしながら、肝障害の進展に寄与すると考えられるTNF-αなどの炎症性サイトカインに比べ、インターロイキン-10(IL-10)など抑制系のサイトカインの増加がより顕著であり、これらは障害の防御因子として誘導されたと考えられた。実際、IL-10ノックアウトマウスではアセトアミノフェン投与による肝毒性が増強した。IL-10機能には多型性が知られていることから、多型に基づく防御機能の破綻が特定個体における障害の発現あるいは増強に関与する可能性が考えられた。次にNSAIDジクロフェナックについては初代培養肝細胞ではミトコンドリア透過性遷移を介した肝細胞障害が認められたが、in vivoではマーカー酵素の顕著な血清漏出は見られなかった。しかし、ジクロフェナックあるいはインドメタシン投与によってin vitroでは認められないシトクロムP450のdown-regulationが観察され、軽度な肝機能低下を捉えたものと考えられた。この現象はクッパー細胞の機能を不活性化させることにより防御できたことから、これら細胞由来のサイトカインが肝機能低下を引き起こしたものと考えられた。NSAIDが直接非実質細胞を刺激することは考えにくいため、内因性のメディエーターを介すると推定された。
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