研究課題/領域番号 |
14572057
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (30098131)
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研究分担者 |
三輪 匡男 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10046287)
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60343399)
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キーワード | ビリルビン / グルクロン酸抱合酵素 / UGT1A1 / 体質性黄疸 / 核内受容体 / プロモーター遺伝子 / 遺伝子変異 / SNP |
研究概要 |
先天的にUDP-グルクロン酸転移酵素UGT1A1活性が低い患者に抗がん剤イリノテカンの副作用が強く発現し、重篤な副作用が現れ死に至るなど、21世紀の医療に導入されつつあるテーラーメード医療即ちSNPsに基ずく体質別治療法に結びつく酵素の一つである。また一方UGT1A1は細胞毒性の強いビリルビンIXαをグルクロン酸抱合し無毒化する酵素でもあり、体質性黄疸発症の原因酵素としても知られている。黄疸症状軽減の治療薬としてフェノバルビタール(PB)が有効であることに着目し、UGT1A1酵素が薬物代謝酵素CYP2BのPB誘導メカニズムと同様の機序で誘導される可能性を考え研究を進めた。UGT1A1遺伝子のエクソン1上流にPB応答エレメントgtPBREMを同定するとともに、核受容体Constitutive Androstane Receptor(CAR)/レチノイドXレセプター(RXR)ヘテロ2量体がこのPB応答エレメントに結合することにより転写が活性化されることを明らかにしている。本研究において、UGT1A1遺伝子のPB応答エレメント内のCAR/RXR結合部位gtNR1とは異なる調節領域NR3の一塩基変異が酵素誘導を抑制することを初めて明かにし、Gilbert症患者にこの変異遺伝子の出現頻度が有意に高い知見が得られ、gtPBREM等の転写調節に関与する遺伝子変異が体質性黄疸発症原因となっていることが強く示唆された。さらにwild-typeのgtPBREMではNR3部位に核内受容体CARやPXRが結合し、NR3部位もまた転写調節に重要な役割を果たしていることを明かにした。これらの知見は体質性黄疸の治療法の開発、抗がん剤イリノテカン等の薬物副作用の防止、核受容体を標的とした医薬品の開発に貢献できるものである。
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