研究課題/領域番号 |
14572061
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
平藤 雅彦 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (20142987)
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研究分担者 |
浜上 尚也 北海道医療大学, 薬学部, 助手 (70221504)
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キーワード | ドコサヘキサエン酸 / エイコサペンタエン酸 / 血管平滑筋細胞 / 一酸化窒素 / 誘導型NO合成酵素 / MAPキナーゼ / シクロオキシゲナーゼ |
研究概要 |
本研究の目的は、ドコサヘキサエン酸(DHA)の持つ動脈硬化症等の循環器疾患に対する有効性の作用機序を、血管平滑筋細胞機能に対する影響から検討することである。今年度は、培養ラット血管平滑筋細胞の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)蛋白及びmRNA発現に対するDHAの作用と、その機序におけるMAPキナーゼ系などの関与を分子薬理学的に明らかにすることであった。血管平滑筋細胞をインターロイキン(IL)-1βで刺激するとiNOS蛋白およびmRNA発現、一酸化窒素(NO)産生が誘導されるが、DHAはそれらを有意に増強した。エイコサペンタエン酸も弱いながら同様の作用を示したが、アラキドン酸は無効であった。IL-1βによるiNOS発現はp44/42 MAPキナーゼの上流を阻害するPD98059により著明に抑制されたが、p38 MAPキナーゼの阻害薬SB203580では阻害されにくく、iNOS発現にp44/42 MAPキナーゼが重要であることが示唆された。また、DHAにより増強されたiNOS発現も同様に抑制された。そこでMAPキナーゼのリン酸化体に対する特異的抗体を用いて解析したところ、DHAはIL-1βによるp44/42 MAPキナーゼ活性化をさらに増強することが明らかとなった。DHAのiNOS誘導促進作用におけるNF-κB転写活性への作用検討は実験手技の問題より今後の検討課題として残った。一方、iNOSと同様にIL-1βにより誘導されるシクロオキシゲナーゼ(COX)発現もDHAにより増強されるが、これには両MAPキナーゼ経路が関わり、プロティンキナーゼCは関わっていないことも示唆され、この点についての検討も今後の重要な検討課題と考えられた。
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