昨年度に引き続き放線菌が生産する抗HIV活性を有する新規たん白質actinohivin(AH)の分子構造と生物活性との関係を明らかにするため、既に確立した大腸菌により組換えAHを効率的に生産する技術をもちいて種々のアミノ酸置換変異体を大腸菌で作成し、それらの合胞体阻害活性について検討した。 AHはHIV外套たん白質gp120が持つ糖鎖のうち高マンノース型糖鎖を認識して結合するものと考えられている。Carbohydrate binding module family 13に分類されるたん白質にはセグメントのC末端にQXW配列が保存されており、糖鎖結合活性に重要であること。そこで、AHの各セグメントのQXW配列中のグルタミンをアラニンに置換した変異体(Q^<33>A、Q^<71>A及びQ^<109>A)について合胞体形成阻害活性を測定した。まず、3つのセグメントのうち1つに変異を導入した場合、合胞体阻害活性はどのセグメントに変異を導入した場合でもAHの1/13〜1/20に低下した。この活性の強さはセグメントを1つ欠失させた変異体と同程度であることから、QXW配列のQはセグメントが糖鎖を認識するために重要なアミノ酸残基であると考えられた。また、2つのセグメントのQをAに置換すると活性は1/100以下に低下した。このことはAHを構成する3つのセグメントは立体構造の維持だけでなく、各セグメントが1単位として糖鎖との結合に直接かかわっているものと考えられた。そこで、次にセグメント1をモデルとしてA1a置換変異体を作成し、合胞体形成阻害活性を調べた結果、4つのアミノ酸残基(^<15>D、^<23>Y、^<28>N及び^<32>Y)をアラニンに置換した時、セグメントを1つ欠失させた変異体と同程度に合胞体阻害活性の低下が認められた。
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