研究概要 |
平成15年度の研究実施計画に準じて実験を行った結果,以下の成果を得た。 1.トロンボモジュリン(TM)と組織因子(TF)の遺伝子DNAと核内レセプターとの相互作用 無細胞系で合成系で調製したRAR-αとRAR-β,RXR-α,PPAR-αとPPAR-γ,Sp1,Sp3,Sp4,c-Jun,c-FosをTMとTFの標的DNA塩基配列との相互作用をゲルシフト法で解析した結果,TMのDR-4配列にはRAR-αまたはRAR-β,RXR-αが,GCボックスにはSp1,Sp3,Sp4が相互作用すること,そしてそれらの発現状態が標的塩基配列との相互作用に影響を及ぼしていることが明らかとなった。一方,TFのAP-1配列には,c-Junとc-Fosのヘテロダイマーが結合するが,実際の内皮細胞ではAP-1配列への結合はそれらサブタイプの発現状態が重要でだった。 2.TMとTFのレポータープラスミドの構築 TM遺伝子上流配列とTFのAP-1特異的な配列を含むルシフェラーゼレポータープラスミドをそれぞれ構築した。さらに,TMのDR4配列とSp1応答配列,TFのAP-1応答配列に変異を導入したレポータープラスミドを構築した。 3.TMとTFの標的応答配列への変異導入と核内因子依存性の転写活性の測定 上記2で調製したレポータープラスミドを内皮細胞に導入したが,それらの発現は確認できなかった。そこで,各レポータープラスミドとその変異体をヒト微小血管内皮細胞のクローン細胞(HMEC-1)に導入して,目的のタンパク質を発現させる系を確立した。TMとTFの転写活性に対する発現タンパク質の影響は現在検討中であるが,TMではRAR,RXR,Sp-1ファミリーの発現状態が,またTFではc-Junやc-Fosのサブタイプに加えて,RAR,RXR,PPARの発現状態が大きく影響すると推定された。
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