研究概要 |
1.紅麹成分の単離と構造決定並びに生物活性試験用化合物の大量調製(秋久担当) 紅麹(Monascus pilosus IFO 4520)粉末を70%EtOH及び塩酸酸性MeOHで抽出した。70%EtOH抽出物はEtOAc画分、BuOH画分、H_2O画分に分画した。EtOAc画分より6種のアザフイロノイド色素、Monascin(1)、Ankaflavin(2)、Rubropunctatin(3)、Monascorubrin(4)、Rubropunctamine(5)及びMonascorubramine(6)を単離した。BuOH画分からは2種の新規アゼチジン型アミノ酸、(+)-Monascumic acid(9)及び(-)-Monascumic acid(10)を単離し構造決定を行った。また、塩酸酸性MeOH抽出物より2種のフラノイソフタライド色素、Xanthomonascin A(7)及びXanthomonascin B(8)を単離した。 2.紅麹成分の抗発がんプロモーター活性の一次スクリーニング試験(徳田、安川担当) 1)Epstein-Barrウイルス早期抗原(EBV-EA)発現の抑制効果:上記10種の化合物についてRaji細胞におけるEBV活化抑制試験を行い、6種の化合物(1、3〜5、9、10)が顕著な抑制効果を有することを明らかにした。 2)マウス耳殻におけるTPA誘発炎症抑制効果:上記10種の化合物について炎症誘発抑制試験を行い、7種の化合物(1〜6、10)に合成消炎剤Indomethacinと同等かそれ以上の炎症抑制効果を確認した。 3.紅麹成分の抗発がんイニシエーター活性試験(徳田担当) 1)ヒト正常肝由来細胞のNOR 1処理によるNO障害に対する抑制試験:上記10種の化合物について抗発がんイニシエーター活性の一次スクリーニング試験であるNO障害に対する抑制試験を行い、4種の化合物(3,4,7,8)に中程度の抑制効果を確認した。 2)マウス皮膚におけるPeroxynitriteをイニシエーターとしたin vivo二段階発がん試験:一次スクリーニングでは顕著な活性を示さなかったが、Mionascin(1)について本試験を行い、この化合物が顕著な抑制効果を示すことを確認した。 3)マウス皮膚におけるUVBをイニシエーターとしたin vivo二段階発がん試験:Monascin(1)について本試験を行い、この化合物が顕著な抑制効果を示すことを確認した。 4.学会発表 本年度の研究成果は日本薬学会第124年会(2004年3月29日〜31日;大阪)で発表した。また、この発表論文は「第124年会講演ハイライト」に推薦された。
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