研究課題/領域番号 |
14572102
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
山口 十四文 帝京科学大学, 理工学部, 助教授 (90230367)
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研究分担者 |
平井 俊朗 帝京科学大学, 理工学部, 助手 (30238331)
実吉 峯郎 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20002339)
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キーワード | テロメラーゼ / テロメア / 阻害剤 / ヌクレオシド / ヌクレオチド / 短小化 / DNA / DNAポリメラーゼ |
研究概要 |
がん細胞のテロメラーゼを阻害することによって、テロメアDNAの伸長阻害に起因する細胞増殖抑制を引き起こすようなヌクレオシド・ヌクレオチドアナログの獲得を目的とした。 1.テロメラーゼに対するヌクレオチド系阻害剤の合成と検索 カーボサイクリックオキセタノシンG(C-OxtG)のトリりん酸誘導体(C-OxtGTP)およびその類縁体を合成し、テロメラーゼに対する阻害効果を調べた。テロメラーゼの測定は、伸長されたDNA産物をStretch PCR法で増幅することにより定量的に行った。その結果、C-OxtGTPは強いテロメラーゼ阻害剤であることが明らかとなり、dGTPと拮抗的であり、dGTPのKm値(11μM)より小さな阻害定数(Ki)値2μMを示した. 3'-アジド-2',3'-ジデオキシグアノシン(AZddG)のトリりん酸体(AZddGTP)が、ヒトテロメラーゼの強力な阻害剤であることを昨年度に報告した。AZddGTPおよびC-OxtGTPの真核生物DNAポリメラーゼαおよびδに対する阻害は、AZddGTPで認められず、C-OxtGTPでは認められた。AZddGTPはテロメラーゼの選択的阻害剤といえる。 2.ヒト培養細胞HL60細胞のテロメア長に及ぼす影響 AZddG(50μM)の存在下HL60細胞を継代培養すると、AZddG非存在下に比べ、細胞の増殖速度が20日以降で少し低下した。これとほぼ相関してテロメアDNAの短小化が認められた。一方、同様の実験をC-OxtG(50μM)を阻害剤として行うと、15日以降に細胞増殖速度が顕著に減少した。しかし、テロメアDNAの短小化との相関は認められなかった。C-OxtGの増殖抑制効果は、テロメラーゼ阻害以外の作用機構によるものと考えられる。今後、さらに検討を加え、より強力なテロメラーゼ阻害剤を獲得したい。
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