Objective Structured Clinical Examination (OSCE)は臨床能力を客観的に評価できる、優れた評価方法として、1975年にHardenらによって提唱された。OSCEでは複数のステーションを設置し、受験者は各ステーションで臨床能力のさまざまな側面を評価される。各課題には予め評価基準が設定され、受験者は各ステーションを順次回って多角的に評価される。臨床能力、特に診療に関する技能および態度・マナーを適正に評価する妥当性と信頼性の高い客観的な試験方法である。本研究の目的は、平成13年度および14年度に実施した第1年次臨床研修医対象のOSCEにおける各ステーションにおけるフィードバックの有用性を検索することである。 東京医科歯科大学歯学部附属病院における歯科医師臨床研修では、研修医の出身大学はほぼ全国にわたっている。したがって臨床研修を開始するにあたり各研修医の臨床能力を予め把握しておくことは極めて重要である。そこで当院では平成13年度から基礎臨床研修期間にOSCEを実施している。ステーション構成は(1)医療面接(初診時)(2)指導、説明(抜歯後の注意・刷掃指導・不正咬合の治療の有無等)(3)抜歯(4)基本的技能(ラバーダム防湿等)である。その結果、各研修医間でその臨床能力に大きな差異が認められた。各大学歯学部あるいは歯科大学における卒前臨床教育の内容には大きな差があることは一般的によく知られているしかしOSCEの結果では、大学による差異よりも、研修医個人による差異のほうがより顕著であった。また、各ステーションにおけるフィードバックは形成的評価として各研修医自身にとって極めて有用であり、またOSCEの結果は研修指導歯科医師にとって極めて重要な情報となった。
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