本研究の目的は、平成13年度から15年度にかけて第1年次臨床研修医対象に実施したOSCEで各ステーションにおけるフィードバックの有用性を検索することである。 東京医科歯科大学歯学部附属病院における歯科医師臨床研修カリキュラムでは、研修医の出身大学はほぼ全国にわたっている。このような状況から、実際に臨床研修を開始するにあたり各研修医の臨床能力を予め把握しておくことは極めて重要である。そこで当院では平成13年度、14年度に、臨床研修開始時にOSCEを1回実施し、日々の臨床研修指導の一助としてきた。また、2年次研修に進むにあたり、1年間の研修カリキュラム終了時における臨床能力の到達度を客観的に把握することは、指導医はもとより、研修医本人にとっても有用である。そこで平成15年度からは臨床研修開始時および1年次研修終了時の2回OSCEを実施した。対象となった研修医は66名、ステーション構成は5ステーション2列で、課題は(1)医療面接(2)放射線系(3)口腔外科系(4)保存系(5)補綴系である。その結果(1)医療面接(20.61点/23.2点)(2)放射線系(9点/12.9点)(3)口腔外科系(16点/18.6点)(4)保存系(8.3点/15.3点)(5)補綴系(15点/17.3点)総合点(69.59点/87.3点)とすべてのステーションで臨床技能の向上が明らかとなった。各ステーションで実施されている実施直後のフィードバックを中心とした形成的評価の有効性が示された。さらに、実施後アンケート調査により得られるフィードバック、すなわち研修医および評価者からの評価も今後のOSCE運営、研修カリキュラム全体の見直しのためなど多面的に有用な情報となった。
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