研究課題/領域番号 |
14572126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療社会学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
折笠 秀樹 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (20245038)
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研究分担者 |
松倉 知晴 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (50334777)
田崎 美弥子 東京理科大学, 理学部, 助教授 (50256658)
福島 雅典 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80107820)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | QOL / 項目反応理論 / 計量心理学 / 統計学 / アンケート / WHOQOL / 看護学 |
研究概要 |
項目反応理論とは、主に教育学の領域で用いられてきた計量心理学における方法論の1つである。テスト問題の効率的作成において汎用的に用いられている。一方、看護学や公衆衛生学の領域や患者主体の医療現場で唱えられているQOL(生活の質)を計量的に測定する際にはアンケートがよく利用されている。アンケートの質問は安易に作成されているのが現状であり、領域とか次元というものは意識していることもあるが、その中の質問の適切性を検討することはあまりない。本研究では、テスト問題では汎用的にすでに使われている項目反応理論を、QOLのアンケート質問作成へどのように応用できるかを調査研究することをテーマとした。 14年度は主として、QOL評価研究において項目反応理論を用いたと思われる先行研究を文献調査し、そのレビュー結果を表にまとめた。国際QOL研究学会(ISOQOL)へも参加し、そこでの応用例についても整理した。また、項目反応理論をわれわれが実施した慢性心不全QOL調査データへ適用し、いくつかの妥当性評価の可能性を事例研究で検討した。計量心理学でよく使われるCronbachのアルファ係数、因子分析の代替として項目反応理論が利用できること、回答選択肢の個数の妥当性を検討できること、不要な質問を同定できる点などが明らかになってきた。さらに、WHOの開発したQOL質問票というのが知られているが、その開発に当たって計量心理学的検討としてどのようなことがなされたかも調査した。 15年度の研究活動としては、1)項目反応理論の医学研究への応用例に関する調査、2)WHOQOL-26日本語版及びWHOQOL-OLD(高齢者用の調査票)への項目反応理論の適用例、3)QOL調査を臨床試験に取り込む際の実務的観点からの考察、4)計量心理学及び統計学的観点からの検討、5)QOL講習会による普及活動を実施した。項目反応理論の応用例については、MEDLINEデータベースを用いて最近の3年間について広範に検索した。そのうち入手可能な論文17件に関する内容を要約表にまとめた。第二には、WHO(世界保健機構)が作成中した簡易QOL調査票(WHOQOL-26)の日本語版を例にとり、約1,000名の調査データに項目反応理論を適用して、従来の方法論での結果との一致性などを検討した。また、同じくWHOによる高齢者用QOL調査票(WHOQOL-OLD)についても項目反応理論を適用した。第三には、QOL調査を臨床試験に組み入れる際の実務的観点について、肺がん臨床試験における美際の事例に基づいてポイントを要約して、質問数の削減、領域内一貫性、構成妥当性、回答枝数の適切性、総合点を単純和で求めることの妥当性などの検討に関して、項目反応理論は応用可能であることを見出した。 最後に、近年益々重視されつつあるQOL評価法について、医療関係者を対象に初歩的講習会を開催した。
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