研究概要 |
睡眠時無呼吸症候群は、現在、大きな社会問題となっている。大きく末梢性と中枢性に原因が分けられ、末梢性と診断された場合には手術療法も可能であるため、確実な診断力が必要である。診断に関しては、簡易型PSG(Polysomnogram)が開発され市販されているが、装置が比較的高価であることから、患者さんの順番待ちが実情である。また、装置を返却後にオンラインで分析が開始されるため、診断までの時間がかかることも欠点である。これらの事実に鑑み、スクリーニングとして簡便な装置で、かつ、簡単扱うことができ、測定データをリアルタイム、あるいはバッチで送信できるシステム(プロトタイプ)を開発した。ネットワークとしては、セキュリティ確保のため既存の遠隔医療支援システムで使用されている,ISDN回線を使用することとした。技術仕様は以下の通りである。呼吸ピックアップは腹部、胸部に装着する。A/D変換器によりデジタル変換し、クライアント端末側で計測処理を行う。この際にデータベース作成のために患者属性(氏名、日付、整理番号、コメント)を入力する。計測方法は胸郭、腹部の動きを0.5秒間隔で計測し、最大8時間計測可能とした。得られたデータはサーバ(富山医薬大に設置)に対してTCP接続を行い、一定の間隔で送信される一方、ホスト側では、データをデータベースに書き込み、時系列にグラフ表示を可能とした。グラフの更新間隔は60秒程度とし、開始時間、縦横のスケールが更新できるものとした。今回は、胸郭、腹部の動きのみをセンサーとしたが、将来的には現在、市販のPSGに収容されている経皮的酸素飽和度、心拍数も取り込めるように多チャンネルA/D変換器を採用して拡張可能なシステムとした。同時に、患者情報の管理を厳重にするために得られたグラクをJPEG化して保管する際に、カプセル化しすることで画像のコピー、印刷等の二次加工を不可能とするアプリケーションを導入した。このように開発したシステムはプロトタイプではあるが、リアルタイム伝送、患者データの二次加防止に特徴がある。
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