研究課題/領域番号 |
14572132
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
等々力 英美 琉球大学, 医学部, 助教授 (60175479)
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研究分担者 |
鄭 奎城 琉球大学, 医学部, 助手 (90315466)
小川 寿美子 琉球大学, 医学部, 助手 (20244303)
有泉 誠 琉球大学, 医学部, 教授 (90143883)
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キーワード | GHQ / PHW 文書 / 沖縄 / 政策決定 / 政策評価 / 栄養転換 / データベース / マラリア政策 |
研究概要 |
近年の国際的な紛争や戦争や自然災害の復興援助に関する公衆衛生的方法論のあり方は多くの検討課題があると考えられる。戦後の沖縄の米国による事例について多くの課題はあるが,復興援助のあり方について沖縄の研究は意味があろう。以上の観点から、戦後沖縄における米国が行った保健医療関連の復興援助について解析し、その政策決定のあり方について、GHQ/SCAP/PHW沖縄文書データベースを基礎にした系統的レヴューから、現代の戦争や自然災害の復興援助の適用可能性を検討した。資料の解析の結果、以下の事が明らかになった。 1 Wheeler plan以前の米国によるマラリア対策 1)米国の沖縄におけるマラリア対策は、1947年の段階から蚊対策だけではなく、かなり広範囲な公衆衛生対策、人的資源の活用と組織化、地域住民に対する教育など系統的計画を立てていた。後年のWheeler planの雛型が1947年代から行なわれていた可能性がある。 2)沖縄における初期(1947年)のマラリア対策の総合的な計画は、文献の数と内容から判断してE.A.Turner (Sanitary Engineer. GHQ/PHW/SCAP section)がまとめ、Wheelerが基本的考えを示した可能性が考えられる。なお、WheelerもTurnerとの連名の資料があるが1949年6月に、沖縄本島のマラリア対策に関わる内容であった。 2 八重山におけるマラリアと移民政策 「移民マラリア」の発生には、移民計画実行の前にassessmentが行われ,GHQ公衆衛生部門では、その調査結果から、移民の実行に否定的であったにもかかわらず、実際には移民政策が実行されたことが背景にある。もしも、この調査の勧告に従って移民計画の中止もしくは公衆衛生上の対策が十分に行われれば、1950年代に発生した移民マラリアの発生は見られなかった可能性が高く、Wheeler Planに要した経済的コストも低減されたものと考えられる。 1)当時のGHQの政策命令に関わる情報伝達が、東京本部と、出先機関である沖縄本島、八重山・宮古の政策部門の間で十分に認識実行されていたのか。 2)1950年前後の国際情勢の変化に伴う米国の沖縄統治の政策変更が、移民政策に影響しなかったか。 3)戦争復興援助における政策決定の公衆衛生分野の資料として、戦後沖縄の事例研究の蓄積がさらに必要である。
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