研究課題/領域番号 |
14572134
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 久子 九州大学, 医学部, 助教授 (80164127)
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研究分担者 |
小林 敏生 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (20251069)
藤村 孝枝 山口県立大学, 看護学部, 教授 (00264979)
森田 秀子 山口県立大学, 看護学部, 助教授 (60275435)
中村 仁志 山口県立大学, 看護学部, 助教授 (00172429)
堤 雅恵 山口県立大学, 看護学部, 助教授 (80280212)
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キーワード | 倫理的問題 / 症例 / 看護者の専門性 / ジレンマ / アドボカシー / 医師との関係性 / 倫理原則 / 関係法規 |
研究概要 |
最終年度、研究班で現在の日本社会において看護者が直面し、悩む倫理的問題、看護領域で特有な問題、看護者の倫理的問題におけるジレンマ、問題分析方法の適切性、症例記述に関して、組織的問題や法的問題との関連も含めて再度検討した。 症例集に記述する症例の選択では、各専門領域の問題と普遍的な問題を考慮して、現在の医療現場だけにとどまらず、現在の少子高齢社会における保健・福祉も取り込んだ症例を選択した。症例集は基本的に現状の医療・保健の現場で出会う症例を反映したものとしたが、倫理的問題の要素は残しながら、個人が特定されないこと、症例および症例提供者に不利益が生じないように部分的変更を加えるなどの配慮を行った。症例集の構成は、1.出生に関する課題 2.母子看護・保健に関する課題 3.成人・老人期の医療・保健に関する課題 4.施設における老人医療・福祉に関する課題 5.地域・在宅における介護に関する課題 6.精神科医療に関する課題とした。 症例記述の際には次の点に考慮した。異なる立場の人々の考えや言動の内容充実のため会話を取り入れ、倫理問題の経緯や背景のイメージ化を図った。また、論理的な情報整理のために問題を明確化して対立する意見や価値観等を検討できるように工夫した。さらに情報整理から選択肢を複数提示して道徳的推論への過程を示した後に「この事例への対応」と「解説」の記述によって個別的および一般的な倫理問題への対応の説明を試みた。 今回、先行研究の「生命・医療倫理症例集作成の試み」を発展させてこの症例集作成に取組み、看護者の専門性、倫理的問題の特性、他職種との協同など多くの議論を通して、現在の日本の看護者が捉えた看護倫理の症例集として一つの案を示すことができたのではないかと思われる。今後、この症例集を教材として使用し評価を行うとともに、医療・保健や社会の変化に応じて適宜、症例を加えていくことを課題としたい。
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