研究概要 |
モヤモヤ病は日本人に多く認められ、症例全体の約10%に家族歴が見られることから、遺伝要因が発症に関わっていると考えられてきた。モヤモヤ病の責任遺伝子を同定することを目的とした。 遺伝子のゲノムの位置を決めるために、家族制モヤモヤ病患者家系を用いて連鎖解析を行った。全染色体上に約10cM間隔で存在する391個のマイクロサテライトマーカーを用いた。連鎖の可能性が得られた領域に関しては、さらにマイクロサテライトマーカーを追加し、デンスマッピングを行った。Linkage analysesにはGeneHunter2およびGeneHunter Plusを用い、TDTにはSIB-PAIR programを用いた。全ゲノムスクリーニング及びデンスマッピングは、モヤモヤ病罹患同胞を含む12家系46人を対象として行った。 続いて連鎖領域はSNPを用いた関連解析を行った。関連解析に用いたSNPはJ-SNPデータベース及びdbSNPより抽出し、ダイレクトシークエンス法を用いて、遺伝子型を決定した。決定された遺伝子型をもとに、連鎖領域における連鎖不平衡を検索した。 全ゲノムスクリーニングの結果、8番、12番染色体においてMLS(maximum lod score)が2を超える領域を認めた。さらに8番染色体に17マーカー、12番染色体に20マーカーを追加したところ、8番染色体ではD8S546でMLSが3.6、12番染色体ではD12S1690でMLSが2.3となり、8q22において有意な連鎖が認められた。 これらの領域にモヤモヤ病の発症に関わる遺伝子が存在する可能性が示唆されたことから、8番染色体の連鎖の示唆された領域について、41のSNPを用いた関連解析を行った。その結果、MATN2遺伝子を中心とした領域とPABPC1,YWHAZ遺伝子を中心とした領域で関連が強く見られ、候補領域が絞られた。
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