平成14年度は、次に述べる3つの項目が完了ないし進行中である。本研究は、全て長崎大学ゲノム・遺伝子解析倫理委員会の承認のもとに行われている。 (1)効率的マイクロアレーCGHの開発:モノソミー・トリソミーが検出可能なマイクロアレーCGHを技術的に確立した。BACのDNAを鋳型としDOP-PCRを行いさらにその産物をアミノ基で修飾したプライマーを用いて2nd PCRで増幅し、特殊加工したスライドグラスに共有結合させる系を確立した。これによりシグナル強度が、1:2あるいは3:2コピー比の同定に十分なものとなり、モノソミー・トリソミーの同定が可能となった。 (2)全ゲノムをカバーするBACクローンの収集:使用を予定していたSpectralgenomics社(米国テキサス)の1000個のBACマイクロアレーの質が、期待を下回り、使用できなかったため、我々の手で14年度中に1000個のBACクローンを収集することにした。これらは全てプレート播種して1コロニーからDNAを採取しFISHで目的の染色体上にマップされることを確認後マイクロアレースライド用に使用される。平成15年1月現在約700個のBACのFISHが完了した。この結果約ゲノムデータベースで収集したFISH済みクローンでさえ10%のクローンは、異所性にマツプあるいは多発シグナルを呈し、マイクロアレーCGHに適さないことが判明し、我々の手による地道なFISHマッピングが不可欠であることが証明された。 (3)染色体異常を認めない正常核型の流産物20例からのDNA採取:流産物20検体の匿名化を行い、それぞれから20μg程度のDNAを採取した。 平成15年度前半期までにマイクロアレー作成を終え後半期で流産物の解析に入る予定である。
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