原因不明の自然流産における染色体微細構造異常の有無を同定するために全ゲノム解析用マイクロアレーシステムの開発を行った。 1)染色体サブテロメア特異的マイクロアレー:染色体サブテロメア領域は通常のG-バンド分染法では白く抜けるバンドで通常構造異常を同定することは困難である。そこで同領域を詳しく調査するためのサブテロメア特異的プローブが開発され、FISHベースで解析がなされている。我々はこれらのプローブをマイクロアレースライド上にスポットし、同領域の構造異常を1度に網羅的に解析するシステムを開発した。このシステムを用いて、陽性コントロールとして4pサブテロメア領域の欠失が知られている症候群(Wolf-Hirschhorn症候群)5例を解析したところ、全例において4pサブテロメア欠失を確認した。さらに2例においてこれまで同定されていなかった染色体異常を合わせて同定した。このように我々の開発したシステムの有効性を確認後、特発性精神遅滞患者69例を解析したところ4例(5.8%)において、サブテロメア領域の構造異常を同定することが可能であった。 2)全ゲノム解析用マイクロアレー:全ゲノムに均等にマップされる多数のプローブ(2000個/ゲノム)を全てFISH法にて想定される位置にマップされることと、単一のシグナルを呈することを確認した。現在全ゲノム解析用マイクロアレーを作成中で完成後、自然流産の解析に用いる予定である。
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