研究概要 |
I.臨床検体における抗癌剤標的分子の解析 1/固形腫瘍における抗癌剤(シスプラチン)感受性に関与した銅の膜輸送体であるATP7Bとp53の発現を蛋白質レベルで比較検討した。その結果、シスプラチンで治療された患者さんにおいてATP7Bはp53や臨床病理学的因子とは独立した予後因子であることが明らかとなった(Clin Cancer Res, April, in press, 2004)。 2/ATP7Bは7箇所の基質結合部位を有しており、6番目の基質結合部位および近傍のATP結合部位が基質の輸送に重要である。そこで両部位の遺伝子変異の検索をヒト固形腫瘍300例でSSCP法で行った結果、遺伝子変異は認めなかった。このことは臨床検体におけるATP7Bの遺伝子あるいは蛋白質レベルでの評価が可能であることが示唆される。(Anti Cancer Res.2003). 3/申請者はXPG(Nat Med,2001)が抗癌剤の標的分子であることを発見した。そこでヒト固形腫瘍で発現および遺伝子変異を検討した結果タモキシフェンやシスプラチンの感受性と相関があることと、非遺伝性腫瘍において初めて遺伝子変異があることを発見した。(現在投稿中) 4/上記標的の転移巣における評価を進行中である。 II.in vivoにおける標的分子の評価。 上記標的分子の遺伝子導入株を用いた動物実験を施行中である。
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