研究概要 |
本研究課題は、平成14〜16年度において東京大学大学院薬学系研究科ならびに静岡県立大学薬学部にて行われた。平成14年度は、東京大学大学院薬学系研究科にて研究を行った。 ラット脳マイクロダイアリシス(MD)により、カンナビノイド受容体の内因性リガンドであるアナンダミド(AN)の分析を目的とし、本研究では、酸クロリドを反応部位として持つ蛍光試薬DBD-COClにより、ANの一級水酸基を蛍光誘導体に導き、カラムスイッチングHPLCにより分離定量を行う。はじめに、MDにおけるANの回収率を向上させるために、透析液にシクロデキストリン(CD)誘導体を添加することを試みた。その結果、2,3,6-O-trimethyl-β-CD(TriMeCD)の添加が最も効果があることを見出した。 平成15〜16年度においては、静岡県立大学薬学部にて研究を行った。 ラット脳MDサンプルからの最適なAN抽出条件を検討した結果、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒(50/50)使用が最も抽出効率が良く、また、液-液抽出時にTriMeCDの添加により、ANピークが大きくなり、抽出効率が向上した。次に、蛍光光度計によりDBD-CO-ANの蛍光強度変化を調べたところ、アセトニトリル(CH_3CN)含量が高いほど、蛍光強度も著しく大きくなった。そこで、移動相中のCH_3CN含量を95%とし、粒子径3μmのODSカラム(250×4.6mm,i.d.)を2本直列に連結するHPLCを構築した結果、検出感度が従来よりも約4.5倍に向上したHPLC条件を確立できた(検出限界:6nM)。こうして最適化したHPLCを使用して、AN投与後のラット脳MDを行い、脳神経-グリア細胞間液中ANの検出を試み、ラット脳MD中ANのピーク検出に成功した。今後、本HPLC法を活用して、脳内AN研究をさらに展開していきたい。
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