研究課題/領域番号 |
14572158
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
有馬 英俊 熊本大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50260964)
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研究分担者 |
平山 文俊 熊本大学, 薬学部, 助教授 (90094036)
上釜 兼人 熊本大学, 薬学部, 教授 (90040328)
甲斐 広文 熊本大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30194658)
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キーワード | 遺伝子キャリアー / デンドリマー / シクロデキストリン / 結合体 / ガラクトース / マンノース / 核移行シグナル |
研究概要 |
組織特異的遺伝子発現の増大を企図して、α-シクロデキストリン(α-CyD)とポリアミドアミンデンドリマー(dendrimer)との結合体(α-CDE結合体)中のアミノ基にガラクトースを1〜15分子結合させた6種のガラクトシル化CDE結合体(Gal-α-CDE結合体)を合成し、そのレポーター遺伝子の発現効率をアシアロ糖蛋白レセプター(AGPR)発現HepG2細胞および非発現細胞であるNIH3T3細胞を用いて検討した。その結果、HepG2細胞においてGal-α-CDE結合体中のガラクトースの置換度が4.3及び5.2のものが遺伝子発現効率に優れ、それらのルシフェラーゼ活性はα-CDE結合体に比べて約20倍増大した。また、ガラクトースの置換度が8.4および14.6のものはα-CDE結合体よりも遺伝子発現効率は低値を示した。この低い遺伝子発現効率は、電気泳動実験の結果から、プラスミドDNA(pDNA)との複合体形成能が低下したためと推定された。一方、NIH3T3細胞における遺伝子発現効率は、ガラクトースの置換度が4.3のGal-α-CDE結合体が最も高く、α-CDE結合体の約20倍高値を示した。また、HepG2及びNIH3T3細胞へのトランスフェクション時にAGPRに結合するアシアロフェツインを添加し、競合実験を行ったところ、遺伝子発現に変化は見られなかった。さらに、我々は種々の置換度からなるマンノース修飾α-CDE結合体(Man-α-CDE結合体)を合成し、その遺伝子発現効率を検討したが、マンノースレセプターを発現していないA549細胞およびMDCK細胞において、α-CDE結合体よりも約5〜10倍高い遺伝子発現効率の増大が認められた。また、高濃度のマンノースを添加してもMan-α-CDE結合体の遺伝子導入効率は変化しなかった。これらのことから、糖修飾α-CDE結合体による違伝子導入効率の改善は細胞表面のレクチン認識とは異なる機序により生じ、pDNAとの複合体形成及び細胞内動態の差異に起因するものと推察される。今後は、これら糖修飾α-CDE結合体の遺伝子導入改善機構の解明、葉酸化CDE結合体の調製、OTC欠損モデルマウスであるspf^<ash>マウスにおける遺伝子治療効果について検討する予定である。
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