研究概要 |
腎不全患者の遺伝子多型解析とPPIの薬物動態、薬効解析 症例:1例。男性。糖尿病性腎不全(透析導入前)。ヘリコバクターピロリ菌陽性。 結果:パリエット内服前のpHモニタリングでは、食後に一過性にpH4以上(食事の影響と思われる)になるが、その他の時間帯はpH4以下であった。翌日パリエット内服3時間後に急速にpH7以上(内服3時間まではpH4以下)になり、その後pH4以下の時間帯は全く認めなかった。内服1週間後のPHモニタリングでは、1日中pH4以上であった。パリエットの血中濃度は、1日目は、内服3時間後8.12ng/ml、4時間後21.56ng/ml、5時間後に最高血中濃度375ng/mlになりその後は減少していった。1週後には、内服1時間後27.4ng/ml、2時間後に最高血中濃度410ng/mlとなり、その後は減少した。ガストリン値は、測定開始後0.1.2.3.5.7.10.24時間後で200,160,160,150,340,260,170pg/ml,内服1日目は、測定開始後0.1.2.3.4.5.6.7.10.24時間後で170,150,160,130,140,160,140,300,290,310pg/ml,1週後は、440,380,310,320,290,230,410,360,450,260pg/mlであった。パリエット内服後、血中濃度の上昇に伴い胃内のpHも上昇していた。パリエット内服1日目はガストリン値に影響はなかったものの、1週後にはガストリン値はすべての時間帯で上昇していたが、患者の副作用は認めなかった。チトクロムP450 2 C19のgenotypeはpoor metabolizer(^*2/^*2)であった。症例が1例のみなので、genotype別、および正常人との比較はまだできていない。 引き続き患者のエントリーを募り研究を継続していく予定である。
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