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2003 年度 実績報告書

血液脳関門におけるペプチド・蛋白輸送系の機構論的及び分子論的解析

研究課題

研究課題/領域番号 14572161
研究機関帝京大学

研究代表者

出口 芳春  帝京大学, 薬学部, 助教授 (40254255)

キーワード血液脳関門 / 吸着介在型輸送 / オピオイドペプチド / 不死化細胞株 / カチオン性ペプチド / ペプチド輸送系 / エンドサイトーシス / 脳移行性
研究概要

本研究では、脳へのペプチドデリバリーにとって最も利用価値が高いと予想される吸着介在型輸送系の分子論的かつ機構論的解明を目的とした。本年度はμ_1オピオイド受容体に特異的に結合する[D-Arg^2]dermorphih tetrapeptide誘導体TAPA (Sakurada S, et al. Eur.J.Pharmacol., 395, 107(2000))を塩基性ペプチドのモデル基質とし、in vivoにおける輸送能の評価、及び血液脳関門(BBB)細胞を用いて輸送機構を分子論的に明らかにすることを目的とした。BBB細胞として遺伝子改変マウスから調製した条件的不死化マウス脳毛細血管内皮細胞株(TM-BBB4)を用いた。まず、^<125>I-TAPAをマウスに静注し脳への移行性を検討した。^<125>I-TAPAはスクロースとほぼ同じ速度で脳内に取り込まれ、この取り込みは過剰量の非ラベル体TAPAの併用投与により約70%抑えられた。次にTAPAのBBB透過機構を明らかにするために、TM-BBB4への^<125>I-TAPAの取り込みを調べた。細胞内在化を表すacid-resistant bindingは濃度依存性を示し、結合親和性Kd値は10.0±1.7μM、最大結合部位数Bmaxは4.98±1.7pmol/mg proteinであった。このTAPAの内在化は代謝阻害剤である2,4-ジニトロフェノール及びエンドサイトーシス阻害剤であるダンシルカダベリンで有意に阻害された。また、種々のカチオン性ペプチドによっても^<125>I-TAPAの内在化は阻害された。一方、アニオン性ペプチドおよびレセプターを介して内在化されるトランスフェリン、および種々の内因性オピオイドは^<125>I-TAPAの内在化に全く影響を与えなかった。さらに、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が関与する吸着介在型輸送系の阻害剤であるヘパリンでは全く影響がみられなかった。以上の結果から、[D-Arg^2]dermorphin tetrapeptide誘導体TAPAはBBBの吸着介在型輸送系を介して脳内に取り込まれることがわかった。またこの輸送系はbFGFが関与する輸送系とは別のシステムであることが示唆された。本研究で得られた成果はJournal of Neurochemistry, 84, 1154-1161(2003)に発表した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Deguchi, Y., Miyakawa, Y., et al.: "Blood-brain barrier transport of a novel μ_1-specific opioid peptide, H-Tyr-D-Arg-Phe-β-Ala-OH (TAPA)."J.Neurochem.. 84. 1154-1161 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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