研究概要 |
ラット副腎髄質褐色細胞腫由来PC12細胞に、抗アポトーシス分子であるbcl-2ならびにbcl-XL遺伝子、また接着斑キナーゼ(FAK)ならびにその変異型遺伝子を導入した過剰発現細胞を作製した。 1.bcl-2ならびにbcl-XL遺伝子導入細胞は、酸化ストレス(rotenone, H_2O_2)、小胞体ストレス(brefeldin A, thapsigargin)に対し、顕著な耐性を示した。その際caspase-2および-3の活性化も抑制された。一方、プロテアソーム阻害薬によって誘導される細胞死は抑制されなかった。 2.血清除去により、bcl-2,bcl-XL遺伝子導入細胞は死なないのみならず、神経突起を伸ばし分化したが、上述の細胞死誘導刺激下でも突起を伸ばす細胞が増加する傾向を示し、これら細胞では、細胞死のシグナルが分化誘導に働くことが予想された。今後この点についても検討する。 3.FAK遺伝子を導入した過剰発現細胞では、rotenoneや高濃度ドーパミンなどの酸化ストレスによる細胞死が抑制される傾向を示し、変異遺伝子(Y397F,K454R,またはY925F)を導入した細胞では逆に死に易くなった。これら変異部位による、明らかな違いは認められなかった。Caspase-3活性化についても、FAK変異遺伝子導入細胞ではベクター細胞に比べ、より強い活性化が観察された。一方、小胞体ストレスやプロテアソーム阻害薬によって誘導される細胞死は抑制されなかった。(投稿準備中) 4.FAK遺伝子を導入した細胞においてもbcl-2,bcl-XL遺伝子導入細胞と同様に、細胞死のシグナルが分化誘導に働くかどうか、検討中である。
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