1.平滑筋におけるマキシKチャネルの役割について、収縮機能実験・電気生理実験・遺伝子発現実験・ノックアウト動物を用いて多角的な検討を行った。 2.Gs蛋白共役型受容体を介する平滑筋(血管平滑筋・気管平滑筋)の弛緩反応を解析し、IP受容体以外に、β-アドレナリン受容体(β1、β2、β3)を介した弛緩反応に対して、cAMP依存性機構以外に、cAMP非依存性機構も関与することを見出し、これがGs蛋白共役型受容体機構に普遍的に関与する可能性を示唆した。また、IP受容体とβ_2受容体を介した弛緩反応では、cAMP非依存性機構にマキシKチャネルの活性化が関与することを明らかにした。 3.モルモット大動脈単雛平滑筋細胞を用いた吸引電極法による実験から、Gs蛋白がマキシKチャネルを直接活性化しうることを明らかにし、この機序が、Gs蛋白共役型受容体を介したcAMP非依存性の平滑筋弛緩反応機構の一部を説明しうることを示した。 4.膀胱平滑筋で発生する自発性筋原収縮と活動電位の制御に、マキシKチャネルが決定的な役割を果たしていることを見出すとともに、その活性薬の膜状機能疾患治療薬としての有用性を明らかにした。 5.マキシKチャネルのβ1-サブユニットKOマウスの血管反応性を解析し、wild-typeと比較して、細胞外カリウム濃度上昇、BayK 8644(カルシウムアゴニスト)、ならびにTXA2、PGF2αの収縮作用が有意に先進していることを見出した。 6.以上の結果から、マキシKチャネルが血管平滑筋をはじめとした各種平滑筋の膜の興奮性と筋の収縮性制御において中心的な役割を果たすKチャネルであることを示し、Gs蛋白ならびにチャネルβ_1-サブユニットの重要性を明らかにした。
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