研究課題
基盤研究(C)
我々は、核内転写因子活性化を介した新規のリウマチ治療薬に関して基礎研究を進めた結果、関節リウマチ(RA)の病変部位であるヒト関節滑膜細胞において、インドメタシンなどの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の一部は、PPARγ活性化を介してアポトーシスを誘導することを見出した(J Pharmacol Exp Ther 2002;302:18)。加えて、アスピリンやサリチル酸でも、高濃度ではあるが、滑膜細胞に対するアポトーシス誘導作用が観察された(J Pharm Pharmacol 2002;54:1675)。さらに、漢方薬の成分であるトリプトリドにも同様の作用があった(BMC Pharmacol 2004;4:2)。一方、NSAIDsの中で最近注目されている選択的COX-2阻害薬は、重症消化管障害の少ない薬物群である。我々は、6種類の異なった選択的COX-2阻害薬についてヒト滑膜細胞に対するアポトーシス誘導作用を調べたところ、セレコキシブのみに臨床用量に比較的近い濃度からアポトーシス誘導によるRA滑膜細胞の増殖抑制作用を認めた(Arthritis Rheum 2002;46:3159)。加えて、このセレコキシブのアポトーシス誘導作用は大腸癌細胞に対しても認められた(FEBS Lett 2002;531:278)。これらの情報から、我々はセレコキシブによるアポトーシス誘導作用の特異的受容体が存在するという作業仮説に立って、その検索を開始した。現在までのところその発見には至っていないが、その研究の過程で滑膜細胞と癌細胞に対してセレコキシブよりも約10倍強力なアポトーシス誘導作用を発揮する新規のセレコキシブ誘導体を合成した。この新規物質については、現在詳細に検討中である。また、我々はCOX-2の下流でPGE_2産生に働く誘導型酵素であるmPGES-1発現が、産生されたPGE_2自身によって増強されるという炎症の増幅過程を説明する機序があることを見出した(Arthritis Rheum 2003;48:2819)。さらに、PPARγ活性化を促す生体内生理活性物質に関係する酵素であるPGDS発現遺伝子を線維芽細胞に導入することにより、新たな炎症制御法(Am J Respir Cell Mol Biol 2003;28:582 & Arthritis Rheum 2003;48:2931)を考案した。これらの研究結果を利用して、現在新規リウマチ治療薬を開発しつつある。
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