研究課題/領域番号 |
14572183
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小園 亮次 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (00304436)
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研究分担者 |
檜山 英三 広島大学, 医学部附属病院, 助教授 (00218744)
大島 哲也 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40233100)
神辺 眞之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70034139)
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キーワード | 長寿科学 / 老化 / 酸化ストレス / テロメア / 動脈硬化 / 高血圧 / リスクファクター / 虚血性心疾患 |
研究概要 |
本年度、まず、テロメア長の測定方法についての基礎的研究をおこない、血液からのDNA抽出、サザンブロッティングなどにつき、最適な方法を確立した。次におこなったテロメア長の再現性の検討、年齢との疎な相関などから、テロメア長は対象に固有な指標であり、短期間で変化しないことがわかり、臨床検査としての条件を満たすことが確認された。また、検査サンプルは、心臓など、臓器組織を採取する必要はなく、むしろ血液での検討が臨床検査として、より優れた指標となることがわかった。 約90名の心血管病患者とボランティアの協力を得て、各疾患群における平均のテロメア長、血管内皮機能、および酸化ストレス指標との関連を検討したところ、年齢で補正したテロメア長は、疾患群間では有意差をみとめなかったが、高血圧、高脂血症、糖尿病、などのリスクファクターと虚血性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症)のイベント数をスコア化すると、このスコアが高いものほど、テロメア長が短いことがあきらかになった。さらに血管内皮機能の指標として、前腕動脈く血後の血管拡張反応を血管エコーで測定したところ、テロメア長は血管内皮機能が低下しているほど、短縮していた。これらの結果は、テロメア長が、実際の暦年齢よりも鋭敏に心血管リスクを反映することを示唆しており、心血管疾患のリスク/重症度の予測因子として、臨床的に有用であることを示している。 今後、現段階で得られた結果をさらに大きなサンプルで確認するとともに、科研申請書で示したように、テロメア短縮と酸化ストレスの関与につき検討中であり、テロメア短縮のメカニズムを明らかにする上で重要な臨床データが集積しつつある。
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