研究概要 |
本年度は主にキャピラリー電気泳動法によるリポ蛋白分画分析法の開発に重点を置き研究を進めた。キャピラリー電気泳動装置P/ACE2100(Beckman Coulter)により、種々の分析条件下で実験を行い、血清中のリポ蛋白の分子構造の変化から、以下の至適分析条件を確立した。カラムは180μm(I.D.),27cm(有効長25cm)(Alltech, USA, Part No.#13890),陰極に10mmol/I HCI,0.3% hydroxymethyl cellulose,17momol/l 2-amino-2 methy1 1,3-propanediolを含む緩衝液(pH8.9),陽極には20mmol/l alanine,7 mmol/l 2-amino-2-methyl 1,3-propanediolを含む緩衝液(PH10.5)をそれぞれleading Buffer, Terminal Bufferとし、5倍希釈した血清にスペーサーとして10種のアミノ酸を添加し、3-7-nitro-benz-2-oxa-1,3diazole(NBD)creamideでラベル化した試料を約10nLカラムに展開し、10μA(5kV)を印加し、488/520nmの蛍光波長で検出した。高脂血症患者の血清ではHDL(3分画)、カイロミクロン、VLDL、IDL、LDL(3分画)の9分画を20分以内に再現良く分析することができた。本法とポリアクリルアミドディスク電気泳動法(リポフォー、常光)の分析値は近似し、良好に相関した。現在、本法による各種疾患における臨床解析を進めると共に、新たにアセトニトリルを含む電解液によるアポリポ蛋白の分析法の確立に向け研究を継続中である。
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