研究課題/領域番号 |
14572190
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
中西 豊文 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10247843)
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研究分担者 |
池田 恒彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70222891)
清水 章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00028581)
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キーワード | 発現プロテオミクス / 糖尿病性網膜症 / 血管新生制御因子 / 硝子体 / ソフトイオン化質量分析 |
研究概要 |
[目的]ヒト硝子体可溶性蛋白質のカタログ作成と同時に糖尿病性網膜症患者硝子体中に発現している血管新生制御因子の同定と非糖尿病性疾患(黄斑円孔)との量的変動を比較する。 [方法]ヒト硝子体を一晩透析後、凍結乾燥し分析試料とした。試料(0.1mg蛋白量)を2D-PAGE(1次元目:IPGゲル3-10NL、アマシャムファルマシア社製;2次元目:自家製)、SDS-PAGE(10/20:第一化学社製)及び強陽イオン交換HPLC(PL-SAX : CyPress社製)にて発現蛋白を分離・精製した。一方SDS-PAGE後、短時間固定-未染色ゲルを1.2mm間隔で短冊状に切断し、還元アルキル化後ゲル内トリプシン消化し、断片ペプチドを溶媒抽出し解析した(一般講演にて発表)。イオントラップ型タンデム質量分析(IT/MSMS)法は、ピコチップ(FS360-50-15-CE : New Objective社製)をカラム先端側に装着し、MagicC18カラム(Michrom Bio Resources社製)をLCQ^<DECA>(ThermoQuest社製)に連結させ、断片化ペプチドの構造解析を行った。MALDI/TOFMS法は、Voyger DE-PRO(PE Biosystems社製:α-cyano-4-hydroxy cinnamic acid)を用いた。得られたCIDスペクトル、MH^+イオン(マス・フィンガープリント)をデータベース検索し、目的蛋白質を同定した。 血管新生制御因子の定量は、ウエスタンブロット(WB)法及びIsotope Coded-Avidin Tag(ICAT:アマシャムファルマシア社製)法にて実施した。 [結果]電気泳動-ITMSMS法によるヒト硝子体可溶画分のプロテオーム解析の結果、2D-PAGE/MS法では56種類の蛋白質を、SDS-PAGE/MS法では78種類の蛋白質を同定した。その内、通常血清中に見出される蛋白は、前者では21種類、後者では27種類であった。今回、血管新生抑制因子3種Thrombspondin-1、Pigment epithelium derived factor(PEDF)、Endostatinおよび、促進因子4種Insulin-like growth factor、Fibroblast growth factor、Vascular endothelial growth factor、Endothelial cell growth factorを同定した。WB法による血管新生抑制因子の一つのであるPEDF量を比較した結果、糖尿病性網膜症(n=4)では658.9±190.6(arbitrary units:デンシトメトリーによる解析)/μL、非糖尿病性疾患(n=5)では644.7±257.5/μLであり、両者間には差は認められなかった。 [総括]短時間固定-未染色ゲルの方が断片化ペプチドの回収率が向上した。我々のWBでの定量データでは、糖尿病患者硝子体中のPEDFの発現は低下しておらず、むしろ亢進していると考えられた
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