研究課題
基盤研究(C)
マリノブファゲニン(正式名称はマリノブファギン、以下MBGと略)とテロシノブファギン(以下、TCB)が内因性ジギタリスとしてウアバイン(oua)より高いNa、K-ATPase抑制活性を有することが明らかにされている。それに加えて、我々が明らかにしたように、これらの物質の血中濃度がouaより高いことから、両者は生体においてより大きな病態生理学的役割を演じているものと考えた。これまでは、LC/MSを用いての測定を試みてきたが、検体量が多いことと多数の検体を処理するには問題があるので、今年度は、これらの測定を容易に行う目的で、MBGとTCBに対する抗体を作成して測定系の確立を目指した。TCBに対する特異的なモノクローナル抗体の作成を、精製したTCBを抗原に用いて試みた。その結果、収穫されたモノクローナル抗体の特異性を検討すると、残念ながらTCBよりも約3倍程度MBGとの交差活性が高い抗体が得られた。両者の構造が水素原子2個違うのみで類似しているためである。これを用いてELISA系を確立した。しかしながら、何故か血漿中濃度測定では再現性が得られず、現在も試行錯誤を繰り返している。他方、尿中では再現性良く測定が可能であり、食塩負荷ラットの尿中MBG/TCB排泄量を測定した。その結果、食塩負荷では常塩食下飼育ラットと比較して約2倍の排泄量増加を確認した。また、自然発症高血圧ラット(SHR)と正常対照ラット(WKY)とを比較したが、両群間で有意差はなかった。さらに、食塩負荷を行って再検中である。他方、これらの内因性ジギタリスが血中に増加した際に生体に及ぼす効果について、培養ラット大動脈血管内皮細胞(RAEC)を用いて検討した。その結果、ouaはRAECからのブラディキニンによるNO放出反応を増幅することを明らかにした。さらに、この反応は細胞内イオン化Caの増加を伴い、これにはNa-Ca交換系が重要な役割を演じることを明らかにした。
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