1.第14回世界医事法大会(マーストリヒト)での口述発表:「日本における在宅ホスピスケアの現状と訪問看護師の役割」というタイトルで、訪問看護ステーションの訪問看護師として在宅ホスピスケアに従事している共同発表者の体験と、文献検討を通して捉えたものをまとめて発表した。 2.アンケート調査 1.を踏まえてアンケート調査を行った。調査目的は、在宅でホスピスケアを受けたいと望む末期患者に、在宅ホスピスケアを提供できるようにするためにはどうすればよいか、を探ることである。全国ホスピス・緩和ケア連絡協議会の会員である170施設のホスピス・緩和ケア病棟の看護師長を対象にアンケート調査を行ない89の有効回答を得た。そのうちの42施設が在宅ホスピスケアを提供していた。その42施設が、現に在宅ホスピスケアを行っていて困っていることとして挙げたものは、在宅ホスピスケアに従事するスタッフの充足に関することであり、5割を超えていた。その内容は、看護スタッフの不足・24時間対応が難しい・往診できる医師が少ない・スピリチュアルケアの專門家がいない、であった。 また、在宅ホスピスケアをより普及させるために解決すべきこととして挙げられた課題は、費用や介護サービスの不足・在宅での麻薬使用の制限・在宅での医療行為の制限などの制度上のものが多く4割近くを占めていた。 このアンケート調査によって、在宅ホスピスケアが抱えている問題が明らかになった。また、患者や家族側の理由から在宅ホスピスケアの普及は難しいという意見も寄せられ、問題の奥深さが感じられた。 3.来年度の課題; 在宅ホスピスケアの普及に受けて解決すべき課題一つ一つを詳細に検討してゆく。
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