平成14年度に実施した一般病院における末期がん患者の看取りに関する質問紙調査の結果を踏まえ、今年度は、日本文化において末期がん患者を看取る看護師の感情労働の実態を明らかにするために、下記の質的研究を実施した。 1.日本の一般病棟における末期がん患者看取りの実態調査 1)都市(京都市)、地方(滋賀県伊香郡木之本町)の二カ所の病院で末期がん患者を看取る看護師(7名)にインタビュー調査を行った。 2.日本の緩和ケア病棟における末期がん患者の看取りの実態調査 中規模都市(彦根市)公立病院緩和ケア病棟で末期がん患者を看取る看護師(5名)にインタビュー調査を行った。 3.文化圏の異なる国において、末期がん患者看取りの実態調査 1)英国(リバプール)において、リバプール大学付属病院ならびにセントジョーズホスピスでマネージャー、看護師に末期がん患者看取りの実態(施設見学、インタビュー)調査を行った。 2)アラブ首長国連邦において、タワム病院、ドバイ病院、ウェルケア病院でマネージャー、看護師に末期がん患者看取りの実態(施設見学、インタビュー)調査を行った。 以上の調査から、一般病棟、緩和ケア病棟といった場、地方、都市といった地域性、看護師の年齢や経験によって、さらに国による宗教や個人、家族の凝集性などによって、末期がん患者を看取る看護師の感情労働に、違いと特徴があるというデータが得られた。
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