研究課題/領域番号 |
14572220
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
金武 直美 神戸大学, 医学部, 助手 (50264487)
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研究分担者 |
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
中村 美優 神戸大学, 医学部, 助教授 (40189064)
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キーワード | 老人 / ドックセラピー / ボランティア / アニマルセラピー / アニマル・アシステッド・セラピー |
研究概要 |
ボランティアによる施設訪問型ドックセラピープログラムに関する調査は現在継続中であるが、平成14年2月から15年2月までに行われたボランティアグループSによる特別養護老人ホームEでのドックセラピー活動は13回であり、プログラムの参加状況としては、平均参加人数はそれぞれ、ボランティア11.2人、セラピードッグ9.6頭、老人28.4人であった。 プログラムでの参与観察及びビデオ画像等をデータ資源とする質的分析の結果、老人の参加の仕方には積極的交流から消極的交流までの幅が見られ、その関連要因としては老人の認知能力・ADL能カ・犬の選好度・犬との生活史・ボランティアとの関係性が浮上した。またセラピードッグとの交流度に関わらず、「場を楽しむ」「ボランティアとの交流を楽しむ」という参加の仕方も見られ、ボランティアと老人の「なじみの関係」も形成されている事がわかった。 毎回のプログラム終了直後のボランティアの意識調査(質問紙法)では、参加の満足度は平均4.09点(レンジ1〜5)であり、概ね満足というものであった。満足度にはボランティアと参加老人の比率・ボランティアの参加回数や経験が関連しており、対応する老人が少ないほど、参加回数・経験が多いほど満足度が高くなる傾向が見られた。また自由記載では、老人の笑顔や感謝の言葉、老人の言動の変化などを喜びや励みとしてとらえる一方で、痴呆性老人の理解や対応、老人の個別的対応についての課題や欲求に関する記載が多<、交流の質向上への意欲が見られる。 以上の結果から、ドツグセラピーの意義・効果は、老人-セラピードッグの関係のみに規定されるものではなく、セラピードッグを媒介としたボランティア-老人の関係性、老人-セラピードッグ-ボランティアの3者の関係性の形成が重要である事が示唆された。
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