研究課題/領域番号 |
14572220
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
金武 直美 神戸大学, 医学部, 助手 (50264487)
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研究分担者 |
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
中村 美優 神戸大学, 医学部, 助教授 (40189064)
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キーワード | 老人 / ドッグセラピー / ボランティア / アニマル・アシステッド・セラピー / アニマル・アシステッド・アクティビティー |
研究概要 |
ドッグセラピー活動の参与観察や意識調査を継続し活動内容の分析の精緻化を図るとともに、効果的ドッグセラピーの要素を模索する視点で、老人・ボランティア・施設職員の個に焦点をあて調査・質的分析を行った。 <活動の概要>平成15年3月〜16年2月に行われたボランティアグループSによる特別養護老人ホームEでのドッグセラピーは11回であり、平均参加人数はボランティア10.1人、セラピードッグ9.7頭、老人19.0人であった。 <老人>老人の参加形態は「自ら希望〜促されて」「前々から楽しみに参加〜状況把握できないまま促されて参加」などがみられた。参加の有無は、老人の希望や健康状態だけでなく、ケア日課やマンパワーにも影響され「参加できない・控える・遅れて参加する」などがみられた。また、参加決定は老人の意思によるもの職員の判断によるものとがあり、後者は高度痴呆や活動不耐の場合などであった。 <ボランティア>ボランティアの交流の様子や達成感は、老人の意思疎通の程度に影響を受けていた。特に老人の反応の有無・程度は大きく影響し、反応が低い場合、ボランティアは「疲れる・やりがいがない・対応に困る」と感じ、短時間で老人との交流を終わる傾向がみられた。 <施設職員>職員の関わりは、「導入・誘導・付添」「参加度を上げる促し・安心させる声かけ・個々の健康状態・障害に応じたケア」などの老人の援助だけでなく、「話題提供・個別的コミュニケーション手段の伝達」などの老人とボランティアとの交流の仲立ちも行っており、効果的プログラムの重要な要素となっている。しかしその一方で、人員不足や他の基本的生活援助業務との競合などから十分な協力体制にない状況がみられた。また、Ns・PT・OTの参加がなく、施設側はドッグセラピーの位置づけを「刺激」としており、ボランティア側の「Activity Care」を目標とした意識とのずれが見られる。 以上の結果から、効果的な施設訪問型ドッグセラピーに向けての課題として以下のことが示唆された。 〓ボランティアが、老人に特有な障害に関する知識・情報を獲得する必要性 〓施設職員・ボランティア間における、ドッグセラピー活動の目的・意義の共有や協力体制の充実 〓老人の障害レベルに対応したプログラム開発の必要性
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