研究分担者 |
野本 ひさ 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50259652)
乗松 貞子 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80208404)
中村 慶子 愛媛大学, 医学部, 教授 (40263925)
中島 紀子 愛媛大学, 医学部, 助手 (20325377)
松本 葉子 愛媛大学, 医学部, 助手 (30294804)
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研究概要 |
21世紀の保健・医療を担う人材を育成するための看護教育において、高度に発展し続ける医療技術に対応できる実践的技術教育の強化が急務となっている。自ら思考し、主体的に対応・判断・実践できる能力を持った看護職の育成に対応できる効果的な教育システムを開発することは看護学教育における使命である。特に、大学における看護技術教育は、従来行われてきたような、繰り返し身体を使って反射的に身に付けるという訓練的な教育方法から脱し、技術の正確さを裏付ける理論や知識を基盤に、どのような状況にもクリティカルに対応できる「根拠のともなった看護」(evidence based nursing)が実践できるための教育方法を構築する必要がある。このような教育目標のもと、本研究では学生が自らの力で知識を構造化し再編していく力を養うための教育システムを開発しその教育的意義を検証するとともに、急速に変化する医療現場に対応できる能力としての看護技術教育のあり方を検討することを目的とする。 本年度の実施状況は以下のとおりである。 I.愛媛大学医学部看護学科で看護技術教育を行っている各科目が、現状で行っている技術教育実施状況を調査し,その分析結果に基づいて,現在行われている技術教育の発展的修正を行っている。 1.臨床実習でどの技術項目が修得できているのかを調査したところ,まず,実習で修得できる技術とできない技術があることが判明した。また,修得の機会に特徴があることがわかった。このことを踏まえて,(1)臨床実習で修得できない技術については学内演習で強化する(主に身体侵襲を伴う技術),(2)成人実習で修得機会の多い技術(感染防止技術,与薬,無菌操作など)と老人実習で修得機会の多い技術(排泄援助,食事介助,移動・移送など)を洗い出し,それぞれの科目の時点から臨床実習での技術修得を目指した講義・演習に修正した。 2.技術習得状況を整理していくと,これまでは各科目が独自に技術教育の必要性を考慮したカリキュラムであったことが判明した。そこで,基礎,成人,老人の各科目担当者で「臨床実習に関するワーキング」を立ち上げ,学内及び臨床実習でどのように技術教育を構築していけばよいか検討を行っている。 3.静脈注射に関する技術教育について,現在は学内演習でシュミレータを用いたトレーニングを行っている。また,2年次から4年次にかけて縦断的,発展的なプログラムとして試行している。本年度は,卒業前の学生からの希望により,卒前教育として採血の演習を実施した。この演習は学生からの要望によるものであり,シュミレーションの活用と,人体を使った学内演習の際の同意書他倫理的配慮を踏まえた展開となった。 II.効果的な看護技術教育方法の検討のために,カナダマクマスター大学の看護教育の実際を視察した。マクマスター大学ではPBL (Problem Based Learning)の教授学習方法に卓越しており,本視察では,健康科学部副学部長Dr.Catherin Tompkins氏はじめ数名の教官より,看護基礎教育の現状や看護臨床実習の展開について情報を得た。また,現在日本の看護基礎教育で必要性が強調されているフィジカルアセスメント技法についての教育方法も見学し,本研究課題への多くの示唆を得た。 次年度は上記の成果を整理し、カリキュラム全体の中での看護技術教育の展開とより効率的で質の高い教授学習方法の検討を行うことを予定している。
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