研究概要 |
21世紀の保健・医療を担う人材を育成するための看護教育において,高度に発展し続ける医療技術に対応できる実践的技術教育の強化が急務となっている。急速に変化する人口構造や疾病構造,さらには保健医療福祉を取り巻く環境の変革の中で,自ら思考し,主体的に対応・判断・実践できる能力を持った看護職の育成に対応できる効果的な教育システムを開発することは看護学教育における使命である。特に,大学における看護技術教育は,従来行われてきたような,繰り返し身体を使って反射的に身に付けるという訓練的な教育方法から脱し,技術の正しさを事付ける理論や知識を基盤に,どのような状況にもクリティカルに対応できる「根拠のともなった看護」(evidence based nursing)が実践できるための教育方法を構築する必要がある。このような教育理念のもと,本研究では学生が自らの力で知識を構造化し再編していく力を養うための教育システムを開発しその教育的意義を検証するとともに,急速に変化する医療現場に対応できる能力としての看護技術教育のあり方を検討することを目的に以下の活動を行った。 1.平成15年度,16年度に実施した,愛媛大学医学部看護学科の看護技術教育実態調査から,現在の技術教育の現状を,文部科学省「看護の在り方検討会」から提示された看護基本技術13項目(87細項目)を参考に分析,検討した。その結果,臨地実習で修得できる技術項目と,修得が困難な技術項目が明らかになり,これらの効果的な学習方法が検討された。 2.看護教育の先進国,カナダMcMastor大学の教育方法についてPBL(Problem Based Learning)Work-Shopに参加し,先進の看護教育方法について惰報収集を行った。この教育方法を参考に,上記で分析された本校の看護技術教育の問題点に対して,新たな教育方法を開発して実施した。 3.看護技術教育を軸に,4年間のいつ,どこで,何を,どのように学ぶのか,カリキュラム全体を通して検討した。 4.以上の結果を,国内学会及び専門誌上で発表し,研究活動全般を報告書としてまとめた。 (河野保子,中村慶子,野本ひさ,乗松貞子,松本葉子,中島紀子,赤松公子が実施)
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