研究概要 |
本研究では学生が自らの力で知識を構造化し再編していく力を養うための教育システムを開発しその教育的意義を検証するとともに,急速に変化する医療現場に対応できる能力としての看護技術教育のあり方を検討することを目的とする。その方向性の第一は,入学時から卒業時までに学習すべき看護技術教育方法を整理・統合し,その教育効果を検証することである。第二は,情報発信の場を国内のみならず国外に置くことで,豊かな教育内容に支えられたグローバルな教育活動の実践が可能となる。第三は,学生が自ら思考し,問題解決を行っていく看護技術教育方法の開発であるこれらの目的のもと,以下の活動を行った。 【愛媛大学医学部看護学科の看護技術教育実態の検証と看護技術教育プログラムの開発】1.臨床実習でどの技術項目が修得できているのかを調査したところ,まず,実習で修得できる技術とできない技術があることが判明した。また,修得の機会に特徴があることがわかった。そこで,基礎,成人,老人の各科目担当者で「臨床実習に関するワーキング」を立ち上げ,学内及び臨床実習でどのように技術教育を構築していけばよいか検討を行った。その結果(1)臨床実習で修得できない技術については学内演習で強化する(主に身体侵襲を伴う技術),(2)成人実習で修得機会の多い技術(感染防止技術,与薬,無菌操作など)と老人実習で修得機会の多い技術(排泄援助,食事介助,移動・移送など)を洗い出し,それぞれの科目の時点から臨床実習での技術修得を目指した講義・演習に修正した。2.技術習得状況を整理していくと,これまでは各科目が独自に技術教育の必要性を考慮したカリキュラムであったことが判明した。 【効果的な看護技術教育方法の開発】カナダマクマスター大学の看護教育の実際を視察した。マクマスター大学ではPBL(Problem-Based Learning)の教授学習方法に卓越しており,本視察では,健康科学部副学部長Dr.Catherin Tompkins氏はじめ数名の教員より,看護基礎教育の現状や看護臨床実習の展開について情報を得た。またPBL(Problem Based Learning)Work-Shopに参加し,先進の看護教育方法について情報収集を行った。この教育方法を参考に,上記で分析された本校の看護技術教育の問題点に対して,新たな教育方法を開発して実施した。また,看護技術教育を軸に,4年間のいつ,どこで,何を,どのように学ぶのか,カリキュラム全体を通して検討した。
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