本研究は、薬物依存症の当事者自身によって運営と入所者へのケアが行なわれている、民間薬物依存症リハビリ施設ダルクにおける薬物依存症者の回復過程を明らかにして、後に続く薬物依存症者が回復過程を歩んでいくための道標となりうる、回復過程に関する仮説、および仮説モデルを、調査による裏付けのもとに得ることを目的として実施したものである。 研究対象者は、3箇所のダルクで施設の代表者、もしくはそれに代わるスタッフから紹介を受けた、施設内でスタッフ研修生(無給)ないしはスタッフの立場で、何らかの役割を担っている薬物依存症者であり、研究対象は対象者らが辿ってきている回復過程そのものである。23名の研究対象者に研究者自身が継続的に実施した面接の記録を分析対象として、これをもとに個別の回復過程の再構成を試みた。再構成した23名の個別の回復過程をもとに、仮説を得るための質的・帰納的分析を重ねた。 得られた仮説のうち、いくつかのネーミングを下記に挙げておく。 (1)すべてを失ったときが回復の好機 (2)回復の目的は自分自身のためという原則の徹底保持 (3)薬物使用につながったような出来事や状況に処していく力の涵養他、20仮説は略す
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