研究概要 |
本研究の最終目的は、日本のホスピス/末期ケアの倫理的課題の探索をとおし、西洋で発展してきた看護倫理普遍論「看護倫理モデルは世界中で共通である」と、「文化の多様性に配慮すべき」との看護倫理相対論を考察することである。14,15年度は、日本・北欧のホスピス/末期ケアの看護師からデータ収集した。16年度は、末期ケアを受ける患者からデータ収集した上で、総括としての看護倫理普遍論と相対論を論じた。 患者からのデータ収集:がん患者14名に対して半構成的面接を行ない、その逐語録を質的に分析し、患者が倫理的と認識する看護師を構成する要素を抽出した。結果、そのような看護師は、「情」、「理」、「知」、および「行」の4つの要素を備えた人であった。「情」は、患者に関心をもつ人情味、「理」は礼をわきまえ責任感をもち、研鑽する仕事への態度、「知」は患者を把握する専門的能力をもった看護師の眼、そして「行」は、心をもって患者をケアする手である。孤独で弱い立場にあると感じている患者は、このような看護師との出会いにより、安心、安楽、癒しを得る。 本研究の総括:下記のとおり、最新著書の日本の看護倫理を論じる章において、看護倫理普遍論と相対論を論じた。 Anne J Davis, Emiko Konishi. The teaching of Nursing Ethics in Japan. In : AJ Davis, V Tudin, L de Raeve(ed) : Essentials in teaching and learning in nursing ethics : Perspectives and methods. Butterworth Heinemann,2005,Edinburgh (in press).
|