研究課題
1.介護家族の肯定的な介護意識を高める援助指針の検討これまでに取り組んだ研究成果を整理するとともに、介護家族に対する看護援助に関する文献を調べて、援助指針を検討した。まず、「介護者が介護体験を通して得るもの」の内容を11項目に整理した。すなわち「介護対象者の理解が深まる」「介護対象者に合った介護方法・技術の習得」「自分自身の理解が深まる」「介護対象者との相互理解の深まり」「人間理解を深める」「自分自身を肯定する気持ちが強くなる」「自身の生活行動の変化」「自身の生き方に関する考えの深まり」「家族員からの支援を得る」「家族以外の相談者・理解者を得る」「社会の価値観や施策への関心の高まり」である。さらに、介護体験を通して何かを得ることを促すための「援助のねらい」を10項目作成し、その具体的方法として、「家族への援助(10項目)」、「本人への援助」に加えて、「他の援助者と援助を通して実感したことを話し合う」方法を加えたものを作成した。2.介護家族の体験内容と認識に関する調査ならびに介護体験を通して得るものを促す援助の検討と介入介護家族9世帯の主介護者9名(長野2名、岐阜7名)に対して、介護体験内容とその認識を調べ、介護体験から得ているものの内容の現状を把握した。調査は、介護体験内容とその認識を把握するために、(1)介護対象者との係わり(食事・排泄・清潔等の介護方法の現状と介護開始時からの変化のプロセス、大変だったことの内容と対処等)、(2)家族・親族との係わり、(3)外部支援者・サービスとの係わり、(4)介護対象者ならびに介護することの受容の4つの側面から捉え、上記1.で作成した「介護者が介護体験を通して得るものの内容」に沿って調査対象介護者の認識の現状を整理した。これらの結果について援助を担当する看護職者らと共有して今後の援助を検討する会議を行った。