平成14年度に作成した「看護部長の倫理的意思決定プロセスモデル」の洗練を行った。 このモデルは、「看護部長として最も意思決定が困難であった倫理課題」について、のべ25名の看護部長を対象に行ったインタビュー結果から発展させたものである。その結果、倫理課題を認識したあとに、どのように意思決定に至るかについて、次の点から整理することができた。 (1)倫理課題に対する価値判断ができるかどうか (2)意思決定権があるか無いか (3)決定内容に納得がいくか否か これらの視点からモデル化を試みた結果、「自分の価値判断に従った意思決定」「道徳的苦悩を伴う意思決定」「倫理的ジレンマを伴う意思決定」「意志決定権なし」の4類型が明らかになった。 このモデルは、すべてインタビューデータを元に作り上げ、理論飽和に至っている。今後は、看護部長のみならず、第一線監督者を含む管理者への応用可能性を探ること、および、より日常的な倫理課題の特定と対応を課題としている。 さらに、平成14年度に引き続き、このモデルを洗練する仮定では、状況によって倫理的意思決定が変化するか否かについても調査を行っており、変化が起きる場合と変化が起きない場合とのパターン化を試みている。その結果、意思決定の価値基準が明確である場合には変化が起きないことが明らかになっている。
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