研究概要 |
14年度研究計画に基づき,本研究の根幹になる「看護必要度」を定義するために,平成5年1月〜14年12月までの10年間における先行研究として,「看護必要度」をキーワードに医学中央雑誌で文献検索を行った。その結果,看護必要度は86件あった。これらの先行研究において「看護必要度」の用語定義は一定でなかった。再度,同条件で「看護必要量」の検索を行った。看護必要量は46件あった。この中の「看護必要度」と「看護必要量」を有意的に使用していたものと,医学中央雑誌には掲載されていないが,「看護必要度」と「看護必要量」の定義に活用可能なものを合わせた34論文を,用語の使い方及び,その経年的変化で分類した。 「看護必要度」は平成11年に掲載誌4,論文数18,12年は掲載誌2,論文数7,13年は掲載誌4,論文数7,14年は掲載誌2,論文数2で,掲載誌は10種類であるが,使い方は「看護技術の適正評価を表す」,「患者が必要とする看護量」,「看護職数算出方法」,「看護の質,看護需要」「診療報酬に反映させる」など多様であった。看護必要量は11年に掲載誌2,論文数2,13年に掲載誌1,論文1,14年に掲載誌1,論文1で,使い方は「看護必要度と同義語」,「患者が必要なケアの量」であり,看護必要度と看護必要量の区切りは明確ではなかった。従って,看護必要度は看護の質を測り,看護必要量は患者が必要とするケアの量を測るものと仮定した。次に,広島・徳島・大分県の看護職員需給計画の算定根拠を,県の担当者に聞き取り調査を行った。各県の人口動態,患者統計や平均寿命に差異はあるが,算定根拠に地域差はほとんどなかった。看護職適正配置のための看護の質と量の算定方法の研究は端に着いたところと言える。
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