研究概要 |
先行文献から「看護度」,「看護必要度」,「看護必要量」の定義と使用方法について検討した。3つの用語を使い分けている文献は少なく,同義語として扱うものが多かった。本研究では,「看護必要度」を「個々の患者が必要とする看護ケアをクリティカル・パス等で量的に標準化し,看護ケアに対する質的評価を患者と,看護職双方から点数換算した結果の総和である。」と仮定義した。しかし,看護必要度は看護専門用語として定義づけるよりも,臨床現場での使用目的や頻度から,人員配置や診療報酬における看護評価として,行政用語として定義することが妥当であると考えた。 医療機関における看護職員配置方法は,患者数に対して算定された新看護体系が最も多く使用され、「看護必要度」から看護職員配置を実施している施設はなかった。看護職員配置は患者の病状ではなく,患者数に対してであり,新看護体系並びに先行文献の看護必要度で看護要員の配置を決定するのは困難であることが明らかになった。仮定義の看護必要度での看護職員配置の可能性を今後検証していく必要性が示唆された。 市町村保健師の配置では,市町村合併モデルの人口を用いて,先行研究の1999年度の配置目安算定式から二次医療圏と合併後市町の保健師配置数を試算した。試算から人口の集中している政令市や中核市の保健師数は増員になるが,人口が少ない過疎地や中山間地の保健師数は減員になった。保健師配置の根拠となる指標を明らかにすることはできなかったが,配置数算定に面積を加算した算定方法の必要性が示された。市町村合併は看護職員需給計画の算定単位となる二次医療圏の圏域を変更させる可能性を示唆していた。 助産師配置は分娩件数が基本になるが,出生児数減少は配置算定の根拠を困難にしていた。助産師の配置場所と業務内容の見直しの観点から看護必要度の再考が課題となった。
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