研究課題/領域番号 |
14572254
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
小澤 道子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40297065)
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研究分担者 |
大久保 暢子 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (20327977)
横山 美樹 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (70230670)
香春 知永 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (30194947)
佐居 由美 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (10297070)
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キーワード | Florence Nightingale / NOTES ON NURSING / Nursing / 看護 / 看護学 / 書誌学的アプローチ |
研究概要 |
Florence Nightingale著「NOTES ON NURSING」(II版)の原文を底本テクストとして、原文の「Nursing」という言葉の用いられ方とその意味構造を明らかにすることを目的としている。 本年度は、(1)書誌学的アプローチを用いて分析対象テクスト(フロレンス・ナイチンゲール著、小林章夫、竹内喜訳:看護覚え書対訳、うぶすな書院 1998)から「Nursing」という言葉と「Nursing」を説明する文を原文と邦文での抽出とカード化、「Nursing」に関連する言葉として「Nature」・「God」・「nature」・「reparative」・「providence」・「law」をあげ、同様に原文と邦文での抽出とカード化をすることと、(2)「キリスト教の歴史」・「ナイチンゲールの時代のイギリスのキリスト教」・「宗教と科学」・「近代科学と現代」などの文献検討をおこなった。 その結果、ナイチンゲールが1860年に看護史上初めて、「Nursing」(看護)という言葉を概念化した背景には、産業革命以後の人間と自然(science)との関係で知識論が問われていく中で、人間と自然(science)と神との関係の中で「Nursing」を論述させたいとする考えが推察された。言い換えれば、当時のイギリス社会の工業化が飛躍的進歩を遂げる一方で劣悪になっていく衛生環境と、クリミア戦争での野戦病院の実践を通して、「看護とは、新鮮な空気や陽光、暖かさや清潔さや静かさを適切に保ち、食事を適切に選び管理する、すなわち患者にとっての生命力の消耗が最小になるようにして、これらすべてを適切におこなうことである」と環境に着目した背景には、神の存在の中にのみ把握しえる自然に関する真理への問いかけがあることが推察された。 時を経た現在に普遍化される「看護とは何か」への問いと、スピリチュアルを重視する「看護学」のありようの論考に有用な視座が示唆された。
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