研究概要 |
質の高い看護を提供するには、看護者個々の看護実践能力を高めることが必要である。今回、実践能力を高めるための一つである、看護者個々の観察能力に着目し、観察の視点(看護観、人間の系統的な観方:情報収集の項目と観察法)と看護実践の質(人間関係、看護技術、思考プロセス)との関連を検討した。 平成14年度は以下の2つの研究を行った。 <研究1> 目的:看護観察による情報収集は系統的枠組があるか、それは看護実践と関連しているかの実態を知る。 時期:平成14年11月24,25、30日の3日 方法:臨床経験5年目の看護師13名(平均年齢27.00±0.58)を対象に、観察の視点の面接調査と模擬患者を用いた看護実践場面のビデオによる観察記録を行い、分析した。 結果:1.看護観や情報収集の系統的な観方や知識が不充分であること、2.看護技術の原理・原則をもとに実践されていないこと、3.個々のコミュニケーション能力に差があることが判明した。 <研究2> 目的:研究1の結果から、観察の系統的枠組みを持つ看護師(学生)の視覚情報の獲得状況を知る。 時期:平成14年12月22日 方法:看護大学の4年生15名を対象に、看護観察の系統的枠組みの必要性とその視点の知識を新たに教育した教育群8名とコントロール群7名に分けた。実験は、刺激に対する注視時間・注視回数・注視順位が測定可能な両眼眼球運動測定装置を用いて、一つの看護場面をスクリーンに投影し観察してもらった。但し教育群は教員からの実験方法の説明と看護観察の系統的枠組みの必要性とその視点の知識を教授した後に行い、コントロール群は実験方法の説明後に行った。分析は、教育群とコントロール群の注視時間・注視回数・注視順位を比較した。 結果:現在分析中である。
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