研究概要 |
「目的」男性ストーマ保有者(オストメイト)と性機能の変化と配偶者の性生活満足度と夫婦関係満足度との関連を明らかにする目的でT県,N県にすむ70歳未満の男性オストメイトとその妻を対象に調査を行った.「方法」T県,N県の患者会に研究の主旨を説明し,研究の了解を得た後,対象者に質問紙を郵送した.その結果,34組の回答が得られた.調査内容は男性オストメイトの性機能の変化と手術前後の性生活満足度,夫婦関係満足度,配偶者が感じているであろう性生活満足度をBAS方式にて調査した.「結果」性機能の変化は性欲では変化無し13人,低下17人,性欲無し4人であった.性交では,低下22人,性交無しが12人であった.オーガズムでは変化無し6人,低下20人,オーガズムなしが7人,無回答1人であった.勃起では変化無し5人,低下15人,勃起無し13人,無回答1人であった.射精では変化無し16人,射精無し22人,無回答1人であった.手術後の性機能の状態に満足なオストメイトは16人,不満なオストメイトは18人であった.性生活満足度は,男性オストメイトは手術前79.3±17.4,手術後30.6±29.0で有意に低下していた(P<0.0001).配偶者は手術前79.3±19.3,手術後56.3±28.4で有意に低下していた(P<0.0001).夫婦関係満足度では,手術前79.4±17.2,手術後64.5±29.7,配偶者は手術前78.7±17.2,手術後67.7±26.9で低下はしているものの有意な差は見られなかった.以上のことから,手術後性機能が低下することで,男性オストメイト,配偶者とも性生活満足度は低下するが夫婦関係満足度は変化がなく,夫婦の絆が保たれていることがわかった.
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